鍼灸の効果

鍼灸の効果にはどのようなものがあるのでしょうか。

現在、鍼灸治療を受ける患者さんの多くは、腰痛や肩こり、ひざの痛みを持った方なので、鍼灸はこうした運動器の症状だけにしか効かないと考える方も多いです。
しかし鍼灸の効果としては、痛みだけでなく、身体のさまざまな疾患に効果があります。

鍼灸の効果については、近年の研究では鍼灸で身体の一部を刺激すると、中枢神経の中にモルヒネのような役割をもったホルモン(内因性オピオイド)が放出されることが解りました。
このホルモンが、痛みを脳に伝える神経経路をブロックします。

また、鍼灸刺激は神経を刺激して血行を促進し、痛みや疲労の原因となる物質を老廃物として排出する作用も持っています。鍼灸刺激は自律神経に効果的に作用し、胃腸や心  臓・血管などに作用しその働きを調節します。最近では、ヒトの持つ免疫力を賦活させる働きについても様々な研究がなされ、まだ解明されていない鍼灸の効果も期待されています。

1997年には、NIH(アメリカ国立衛生研究所)から、鍼灸療法の病気に対する効果とその科学的根拠を認める見解が発表され、WHO(世界保健機関)でも、様々な症状や疾患について鍼灸療法の効果や有効性を認めています。

鍼灸療法の効果や有効性を認められている症状や疾患

WHO(世界保健機構)で鍼灸療法の効果や有効性を認めた病気には、次のものを挙げています。

★運動器系疾患
肩こり、五十肩、腰痛、頚椎症、変形性膝関節症、腱鞘炎、テニス肘etc.

★消化器・呼吸器系疾患
便秘、下痢、慢性胃炎、食欲不振、気管支喘息、鼻炎、感冒、扁桃腺etc.

★疼痛性疾患
頭痛、坐骨神経、術後疼痛、ヘルペス後神経痛、三叉神経痛etc.

★循環器系疾患
低血圧症に伴う諸症状、冷え性、本態性高血圧症etc.

★泌尿器・産婦人科系疾患
月経異常、更年期障害、逆子、不妊、インポテンツ、失禁症etc.

★感覚器系疾患
仮性近視、眼精疲労、メニエール病、耳なり、難聴etc.

★小児疾患
夜尿症、小児神経症、消化不良etc.

★その他
不眠症、肥満、自律神経失調症、片麻痺、顔面神経麻痺、アレルギー疾患etc.

鍼灸の効果のしくみ

(1)総合的に鍼灸刺激が自律神経系、内分泌系、免疫系に作用して生体の恒常性の改善につながると言われております。
(2)鎮痛作用は次の諸説が有ります。

・ゲートコントロールセオリー 鍼刺激が脊髄で痛みを抑制します。

・エンドルフィン 鍼刺激がモルヒネ様物質を生成し痛みを抑制します。

・末梢神経遮断効果 鍼刺激が痛みの神経に伝わる興奮(インパルス)を遮断します。

・経穴(ツボ)の刺激で、痛みを自覚する痛覚の閾値が上昇し結果的に痛みを抑制します。

・血液循環改善 筋肉の緊張をゆるめて血液循環の改善と冷えをとります。

経穴(ツボ)や縦の系統(経絡)の働きを科学的方法で解明すべく多くの鍼灸関連の大学、研究機関で現在も研究が進められています。

(公益社団法人 日本鍼灸師会 資料より)

お気軽にお問い合わせください。075-451-5310受付時間 9:00-18:00 [ 土・日・祝日除く ]